金原ひとみ「蛇にピアス」(「文芸春秋」2004年3月号」)

蛇にピアス
おー、期待してなかったんだけど、想像を越えて良かったな。見直した。
うまいじゃない。20歳とは思えない技巧もちらほら。
例を挙げると、刺青の店に訪れる場面が2度あるのだが、この行為の反復と差異だとか、
次第に大きくなっていく舌ピアスの穴(サイズは数字で表される)が、本編と並行してエスカレートしていくところなど、
小説としてしっかり計算されていて、非常に鮮やかな効果をあげていると思う。
文章のキレ、テンポは既に一流だし、受賞は妥当かと。ただし、将来性はわからないね。



誉めすぎたかなぁ。まぁ採点者として読めば、ということ。

あと、書店で、本人直筆コメントPOPてのを見かけたんだけどさ。たしか、具だくさんのカレーがどうのこうのってやつ。
殴り書きみたいで、なおかつ美しい女性の文字。いいね。
受賞後の、自分の立ち位置を理解した上での文のハズし具合もステキ。

ついでに、『週刊プレイボーイ』で宮藤官九郎のコーナー(「ビガーパンツはもう穿かない」)に出て対談してたのも、他のメディアでは読めないような内容のインタビューとして必読。