フローベール「ボヴァリー夫人(上)(下)」(岩波文庫)

ISBN:4003253825
ISBN:4003253817
今読む必然性はまったくないんだけど、こういう日常生活と無関係なものもまた楽しいよな。
まぁ解説でもさんざん言及されているように、
エンマ(ボヴァリー夫人)の求めるものは、まさしくフローベール本人が目指す芸術の完成と重ね合わせられているのだけれど、
それだけに囚われて最後まで読み進めてしまうのはもったいない。
19世紀小説を読むときの、あのうっとりとした(個人的な好みなのだが)市民生活のリズムを味わいつつ
シャルル(ボヴァリー氏)という、凡庸でありながらも献身的に妻を愛す夫が、なぜここまで軽蔑され続けなければならなかったのか、を考えるのもまた一興。